右京区選出の小山田春樹です。
私は、京都党市会議員団を代表して質疑をさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
コロナ感染拡大防止対策と市民生活の支援について
「きょうと新型コロナ医療相談センター」の広報戦略について
まず、はじめに新型コロナウィルス感染症の拡大防止対策と市民生活を支援する取組についてお伺いします。感染者数は、東京、大阪などの大都市を中心に全国的に増加しており、京都市においても11月17日にはこれまでで最も多い40件の患者が確認されるなど、感染拡大の第3波が進行していると言えます。感染拡大防止対策をしっかり行い、市民生活、経済活動の回復を図るための施策を講じることは緊急かつ重要な課題です。
これから冬に向かってインフルエンザの流行も予想されることから、コロナとインフルエンザ双方に対応し、なおかつそれ以外の一般疾患の診療活動にも悪影響が出ないように医療体制をしっかりと確立していくことが求められています。市民のみなさんからは「熱がある。体調が悪いがどのように受診したら良いか分からない」との声、個人病院、クリニックなど小規模な医療機関の医師からは「どこの病院を患者に紹介したら良いかなど必要な情報を教えて欲しい」という声が上がっています。既に「市民しんぶん」による広報が行われていますが、まだ市民への広報が十分とは言えません。体調が悪い時はまずかかりつけ医に相談し、かかりつけ医がいない人は「きょうと新型コロナ医療相談センター」414−5487へ電話をして欲しいということを周知徹底していただくことをお願いいたします。市営地下鉄、市バスの車内広告を活用するなど、市民への広報に力を入れていただきたいと思います。市長のお考えをお聞かせください。
コロナ禍における学生の学業・生活上の悩みに対する対応
さて、コロナ禍の長期化は、市民生活、経済活動に深刻な影響を与えています。企業の倒産や廃業、従業員の解雇などは生活基盤の破壊につながり、早急な支援策が求められます。コロナ禍の下で、生活への不安、様々なストレスが原因となってメンタルな疾患も増加し、自殺者は全国的に増加しています。本市としても医療機関との連携を深め、対策をしっかり行っていく必要があります。
特に、目を向けていただきたいのが学生をはじめとする若い世代のみなさんの生活です。中でも今年4月に入学した1回生の多くは、入学後リモートによる授業が続き、「高い学費を払っているのに、何のために大学に入ったのかわからない」という不安な気持ちになることもあり、コロナ禍収束の目処が立たない中で、就職など将来の進路への不安を抱えている学生も多数います。
京都市は、国の補助金を使い、市内39の大学に1校あたり500万円の補助金を出して各大学が学生の生活相談などに活用するための支援策を実施しました。年内には各大学への補助金交付が完了し、主に学生に対するカウンセリングの充実に活用されるとの事です。この支援策にとどまらず、各大学に対し困りごとが無いか調査し、学生に対しては学業や生活上の悩みについてきめの細かい対策を実施するように要望致します。市長のお考えをお聞かせください。
学生のみなさんに暖かい支援の手を差し伸べていただきたいと切にお願い致します。ここまでが、前半の質疑です。各項目に対し、それぞれ具体的にお答えいただくようにお願い申し上げます。
財政危機の打開策について
~財政危機打開のための歳出削減策について~
待ったなしの京都市財政状況
後半の質疑では、本市の財政危機打開策についてお伺いします。
市会のこれまでの様々な質疑でも明らかなように、本市の財政状況は令和3年度予算編成時において500億円の財源不足に陥るなど、危機的な状況にあります。財政調整基金は既に枯渇しており、公債償還基金の取り崩しを現在のペースで今後も続けていけば、5年後の令和8年度には公債償還基金が枯渇してしまいます。本市の財政状況は、もう待ったなしの瀬戸際に来ているのです。
京都党は、かねてから「収入の範囲内で予算を立てる」配分方式を提言してきましたが、これまで門川市長は「縮み指向にならない」「縮小一辺倒にならない」と答弁され、議論はかみ合いませんでした。しかし、9月市会以降、市長も歳出削減の方針を掲げていらっしゃいますので、共通の認識に立って建設的な議論を進めていくことを期待しております。とはいえ、先日提出された「中期財政収支見通し案」では十分な歳出削減は出来ておらず、令和15年度になっても財政破綻はせずとも危機的な状況が続く計画がなされています。これでは、緊急時への対応が不十分な京都市の財政運営が克服されないままです。さらなる歳出削減策が必要です。
投資的経費を見直すべきでは?
まずは、投資的経費を見直すことで、一定の歳出削減を図ることが可能です。特に、大型の公共事業は、この際立ち止まって見直し、事業の一時凍結、工費の削減などを行うべきです。例えば、京都市立芸術大学の京都駅東部エリアへの移転事業は、国からの補助金もみこめないことから全額が本市の負担、及び本市への寄附金に頼らなくてはなりません。また今後予定している他の投資的事業と比べても工費がおよそ250億円と非常に多額なものとなっています。寄附金は10億円集まっているに過ぎず、このままの計画を続行すれば市の財政状況をさらに悪化させることは必至です。250億円と規模が非常に大きい事業を財政状況が逼迫する中で早急に行うべき合理的な理由がみつかりません。
今こそ、立ち止まって見直すべきです。市立芸術大学移転事業の一時凍結を強く求めます。先の総括質疑の中で、「全て精査する」との答弁がありましたが、その一方で市立大学移転事業だけは別枠扱いされており、工事の入札は再開されています。歳出の見直しと削減が求められている状況で、全てを天秤にかけた上で、何故市立芸大の移転事業に着手するのか、あらためて理由を明確にお示しください。この他、市庁舎整備事業、北陸新幹線延伸、鴨川東岸線整備事業などに対し、今後どのような判断を下すのか、それぞれ具体的に御答弁をお願いいたします。
人件費削減による歳出削減案
歳出の大幅削減は必要ですが、教育、福祉、防災などの水準を守り、行政サービスの低下、市民生活への影響を招かないように十分な配慮が必要です。特に高齢者や低所得者、学生などの若い世代がコロナ禍で厳しい生活状況に追い込まれることがないように、市民生活をしっかり守る方針を堅持する必要があります。それには、様々な事業の見直しを行ってもなお巨額の財源不足が解消できない現状を直視すると、市長及び議員は当然のことながら、本市職員の人件費の削減を行わざるを得ません。
令和元年度決算ベースで本市の人件費は1646億円であり、そのうち賞与は360億円です。そこで。コロナ禍の影響で収支の悪化が著しい令和3年度は、財源不足を補うために1年限りの時限措置として、夏期及び冬期の賞与をそれぞれ20%カットして、約70億円の歳出削減を行うことを提言いたします。この額は本市の人件費総額の5%弱に当たりますが、基本給を下げるわけではなく、あくまでもコロナ対策費用の財源捻出などに使われる時限的な位置づけの削減です。
福井県では、2018年に大雪の除雪作業経費を賄うために職員給与の10%カットを行った事例があり、本市職員の賞与カットはやむを得ない措置と考えます。コロナ対策のために日夜奮闘されている本市職員のことを思うと誠に心苦しい限りですが、職員の皆さまにはご理解とご協力をお願い申し上げます。本市職員の賞与カットなどの人件費見直しについて、市長の見解をお伺いいたします。
その他、働き方改革とデジタル化を進めて、本市職員の残業を減らし残業代の削減を図ることを求めます。市長部局の時間外勤務手当を政令市で比較すると、本市が25億5000万円であるのに対し、全体の平均値が22億円、少ない自治体では13億円から16億円と本市の6割程度です。業務のあり方やプロセスを大きく転換して、時間外勤務を6割程度まで減らすことを目指すことを求めます。市長の見解をお聞かせください。
歳入を増やす施策 その①企業本社の京都市内誘致
さて、財政を立て直すには、歳出を削減するとともに、歳入を増やす努力が必要です。それにはまず、本市の税収を増やしていくことが大切な課題であり、次の二点を提案いたします。
第1は、企業の本社を京都市へ移転するように働きかけることです。法人市民税の増収は、本市の財政状況を改善する上でも大きな役割を果たしますし、東京一極集中からの脱却を図るために是非取り組むべき政策です。首都機能の移転・分散の議論が活発になり、政府も一極集中の是正を進めつつあります。今年6月21日付けで内閣府が行った「コロナ下における生活意識、行動に関する調査」結果によりますと、東京23区に住む20代のうち、地方移住に関心を持つ人は35.4%に上っています。また、日本経済新聞の調査によれば、東京に本社のある上場企業の26%が、本社移転、本社機能の縮小を検討しています。コロナ禍によりテレワークの実施が進むなど働き方が大きく変わってきた今こそ、企業の本社を京都市へ誘致する絶好のチャンスだと思います。市長を先頭に本市の職員が一丸となって、誘致に取り組んでいただくことを要望いたします。
企業が本社を京都市に置くことを選択するためには、魅力的な環境を整備していくことが不可欠です。京都駅東南部エリアをはじめ、交通利便性の高い地域にインテリジェントオフィスを建設する再開発計画を民間主導で推進するなど、新しい都市ビジョンを策定していくことを合わせて提案いたします。市長のお考えをお聞かせください。
歳入を増やす施策 その②定住人口増加の取り組みへ
もう一つは、本市の定住人口を増やしていく取り組みを強めることです。地方自治体にとって定住人口の増加は、極めて重要な課題です。京都市の人口は、京北地域の合併により人口増のあった平成17年度をピークに、毎年減少していく傾向が続いています。また、少子高齢化の進行に伴い高齢者の占める割合が増加しています。若い世代の京都市への移住、定住を促進するためには、住環境の整備、子育てや教育環境の向上を着実に進めていくことが必要です。そのためには、街の特性を活かしエリア別に建築物の高さ制限などを柔軟に規制緩和して、若者や子育て世代が住みたいと思う魅力的な住まいの建設を可能にすることが必要ですが、市長の見解をお伺いいたします。
公有財産借りている営利団体への使用料減免は改定すべきだ
最後に、京都市が保有する建物などの公有財産の目的外使用許可と使用料減免状況についてお尋ねいたします。現在公有財産の目的外使用許可が認められている件数が564件、それらの免除・減額の総額は24億8000万円に上ります。しかもこの564件には営利団体に対して建物使用料を減免しているものも含まれています。例えば、京都勧業館(みやこめっせ)内に設置されている「ミュージアムショップ京紫苑」に対して本来ならば年間240万円納めてもらうべきところを半額の120万円、美術工芸ギャラリーには653万円の使用料に対して半額の326万円の減免、市庁舎分館に入居している三菱UFJ銀行に対しても半額を減免しています。収益性のある事業にも関わらず「採算が合わないが公益性があるため」との理由で減免を行うのは、筋が通りません。まずは金額の大小に関わらず営利団体への減免については直ちに改定すべきであります。
また、公共的団体という位置づけで免除・減免を行っている社会福祉協議会の事務所や特定の公益財団法人の事務所等案件についても、免除や減免を行うことへの妥当性を含め精査が必要だと考えます。平成25年の包括外部監査結果において「使用料等の減免は実質的に補助金交付と同様の経済的効果がある」との指摘がある通り、これらは事実上の隠れ補助金となっています。本来であれば法律に照らし合わせて無償・減額を行う必要性を十分に検討して実行すべきです。今後、公有地の目的外使用にあたっては、免除や減免を行った過去の経緯や慣例などがあるにせよ、妥当性についてあらためて見直すこと。利用者に対して正当な使用料、賃料をご負担いただくことを求めますがいかがでしょうか。市長の見解をお答えください。
以上で、私の代表質疑を終わります。ご静聴ありがとうございました。